6月26日(水)
グラーツの楽友協会で練習です。
4つの演奏会があるので、それぞれ乗り番があるので、早急に仕上げなければならないものを優先的に練習しますが、同時に次の演奏会の準備もしながら稽古が組まれています。
一度にいろんな作品を練習するのでわけが分からなくなってきます(笑)。
とりあえず目下の目標はドヴォルジャークのスタバトマーテル。
28、30、1日と3回公演で1回目がラジオ生放送、2回目がテレビの生放送がはいっています。
ということでハーノンクールとヨーロッパ室内オーケストラとソリストと全員そろっての稽古でした。
このオーケストラはアバドが作ったオーケストラでプロ意識の高い素晴らしいオケです。
このオケとの共演はもう何度もしているのでよく知っていますが、いつもその音に鳥肌が立ちます。
昨年のスメタナ”売られた花嫁”でも絶妙なアンサンブルを聴かせてくださいました。
全員がそろっての初めての稽古だったので、指揮者、オケ、ソリスト、合唱とそれぞれがお見合いしたり、様子を伺ったりと一体感はありませんでしたが、とても楽しい稽古でした。
ドヴォルジャークの受難劇を表現する目的は1つで、それをハーノンクールが調整していくわけですが、だんだんドラマが出来上がっていきます。
指揮者の解釈を演奏者が受け入れるかどうか、また受け入れないけど従うかどうか、または彼の解釈に感銘して身をささげる奏者など(笑)、稽古を見てて本当に面白いです。
オケの中の人間関係も見えていつも楽しんでいます。
オケ合わせの楽しみ方の1つは、その人間関係や能力を把握してどこに焦点を合わせるか判断することです。
また今回はコントラバスとチェロが反対側に配置されていたので、いつもと違った感じでした。
ちっちゃいチューバもあって面白すぎです!
結局自分の位置からはコントラバスやチェロはあまり聞こえないし、この作品はコンサートマスターの重要度がベートーヴェンやモーツァルトに比べて低いと判断。
それはドヴォルジャークの独特の管弦楽法を持っているからだと思いますが、曲と場所によって全部アンサンブルの焦点を変えることにしました。
集中力がいつもの倍以上いりますが、よりドヴォルジャークに寄り添えてそれはそれで幸せだなぁと思いました。
そこで学生時代のことを思い出しました。
この作品を初めて歌ったのは21のとき。
2番トローンボーンがいつも間違った音を吹くので、指摘に行ったらその方から当分無視されました(笑)。
若気の至りです(笑)。